まいの雑記帳

個人サイトを、つくろう

投稿した日
2026/01/22
読了まで
6.55分で読み終われます (3,932文字)

どうも、わたしです。

最近、色々な方が個人サイトを作ったり、個人ブログを立ち上げるのを見る機会が増えている気がします。Twitterの諸々含め、情勢が不安定なこともあり、避難所として作っていっている感じなんですかね?詳しいことは知りませんが。

極端な話、一度ドメインを取得しサイトを作ってしまうと、レジストリのポリシにさえ抵触しなければ何をやってもいいわけで。そこには、金儲けアルゴリズムに支配されたSNSとはまた別の、原始的で自由な楽しさがあります。(もちろん、PaaSなんかを使ってホスティングする場合は、その事業者の規約を守る必要がありますが)

ただ、自由には相応の責任が伴います。企業が提供するプラットフォームとは違い、サーバーが落ちようが、セキュリティホールを突かれようが、全て自分で対処しなければなりません。誰もサポートしてくれないし、復旧もしてくれない。

だからこそ、そもそもインターネットとは何かというレベル感の話であれば、ここでお伝えすることは何もありません。

Webは魔法の箱ではなく、堅牢な技術の積み重ねの上に成り立っています。その土台となるネットワークの仕組みも理解せず、うわべだけのツールを触ろうとするのは冒涜に近い。最低限の教養として、そのあたりを自力で理解してから出直してください。話はそれからです。

さて、そんなことを言いつつ、私もこのサイトを作り始めてから1年弱が経つようです。そろそろ「自分のサイトを作るのはいいぞ」と布教してもいい頃合いかなと思ったので、筆を執るに至りました。

# lit.linkへの違和感

少し前までだと(今でもかな?)、lit.link🔗で各種SNSのリンクをまとめて、プロフィール風のページを作っている人をよく見かけました。

正直に言いましょう。私はあれが心底嫌いです。もうプロフィールのURL欄にlit.linkのFQDNが見えるだけで、ブラウザバックしたくなるくらい嫌な気持ちになる。

単にデザインが量産型的だとか、URLがダサいとか、そういう表面的な話ではありません。あれはリンクサービスを謳っておきながら、特定のASNからのリクエストを無条件で拒否するような仕草をしています。DC経由や、一部ISP(国内含む)からのアクセスを一律で弾く。これは例えるなら、「西アフリカ出身者は入店できません」と張り紙をして商売をしているようなものです。Webサービスとしてあまりにも筋が悪い。

こういった事を言うと、「私は技術者じゃないから知らなかった」「悪気はなかった」という声が聞こえてきそうですが、あえて言いましょう。無知であることを恥じるべきです。

先天的に学習が困難であればともかく、過度に検閲されていない(比較的)自由なインターネットにアクセスでき、調べるためのツールも、推論するための頭も持っているはずです。それなのに、自分が使っているサービスが何をしているのかを知ろうともせず、便利だからと思考停止で使い続けるのは、単なる知識不足ではなく、怠慢であり、思考の放棄に他なりません。

そのようなサービスを自己表現の場として選ぶことは、無自覚であったとしても「私は特定層からのアクセスを拒否する差別主義者です」と公言して歩いているのと同義です。

少しは内省すべきでしょう。

# 検索汚染とWordPress

さて、気を取り直して「個人サイトをつくろう」という話をしましょう。

しかし、安易に「個人サイト 作り方」なんてキーワードで検索するのはお勧めしません。上位の検索結果に出てくるのは、お金で殴って安いライターに量産させたような、中身の薄いSEO特化記事ばかりだからです。

やれレンタルサーバーがどうした、VPSがどうした、結局はWordPressがおすすめという結論。

はっきり言って、そもそも「個人サイト 作り方」で検索するような層の人間が、WordPressをまともに運用保守できるわけがありません。常識的に考えて、手を出すべきではないでしょう。

多くの人が使っているという事実は、必ずしもそれが優れていることを意味しません。単に私がWordPressを嫌っているというのもありますが、個人の小規模なサイトにリクエストが来る度、重厚なPHPプロセスを動かしてDBに接続してページを生成して…なんてヘビーで無駄な計算資源を投じているのは、SDGsにも反する行為です。これは極論なので笑って欲しいところですが、あながち冗談でもありません。

ともあれ、WordPressは構造として古く、脆弱です。コードを見れば、require, require_onceが連呼され、globalに大量のdefine()とコンフィグ用の配列が入り乱れ、サニタイズされているかも怪しい$_GET, $_POST, $_REQUESTが散りばめられている。ファイルの中身はクラス設計どころか、関数にすらなっていない手続き型の記述もかなりある。

とんでもない。あんなのが令和の時代にWebのデファクトスタンダードとして存在しているのが信じられません。

# どうするの

では、具体的にどう構築すべきか。絶対の正解なんてものはありませんが、目的と妥協できるラインによって使い分けるのが賢明でしょう。

まず、コードが書けない、コストをかけたくない、あるいはCMSなんて大層なものは不要だという場合は、Hugoのような静的サイトジェネレータでHTMLを生成し、S3やR2, Firebase Hosting、あるいはGitHub Pagesあたりに放り込んでおくのが、手堅い選択ではないでしょうか。静的ファイルなら管理の手間もセキュリティリスクも最小限で済みますし。

一方で、構成にこだわりがあったり、サーバーサイドでの動的な処理が必要な場合。この場合は、Cloud RunやCloudflare Workers、Vercelといったランタイム環境を利用するのが無難です。Dockerコンテナやエッジワーカーとして動かしてしまえば、それなりのスケーラビリティが確保されますし、ローカルとの差異に苦しむことも減るでしょう。現にこのサイトもCloud Run, Cloud Storage, Cloud Load BalancingのGCPスタックに寄せた構成で動かしています。

そして、どうしてもCMSのような管理画面が欲しいという場合。ここでWordPressに戻っては元の木阿弥です。microCMSやContentfulといったHeadless CMSを採用するとしあわせになれるかもしれません。

何より、コンテンツとフロントを疎結合に保てるのがとても嬉しい。これなら、将来サイトに破壊的な変更を加えたくなっても、データ資産はそのままでガワだけをサクッと別の技術で作り直すことができます。WordPressの謎めいたテンプレート階層やPHPの作法に、未来永劫縛られ続ける必要はありません。

ちなみに、このサイトの記事管理もmicroCMSを利用しています。昨年に行われたプラン改定で無料枠の制限が大幅に緩和されたたようで、かなり弄り倒すことができます。小中規模なら、まず使い切れないくらい太っ腹な仕様になりました。かなりおすすめです。

いずれも共通しているのは、各ベンダが提供する膨大な無料枠をしっかりとしゃぶり尽くせるという点です。旧態依然としたレンタルサーバーに月数百円を払うくらいなら、その分をドメイン代に回した方が建設的でしょう。

実質的なランニングコストをドメイン維持費だけに抑えつつ、無料のリソースを使い倒す。貧乏人ケチケチホスティングの戦略としては、これが一番無難な選択ではないでしょうか。

あ、そうそう。ドメインはとりあえずCloudflareで取っておけばいいでしょう。NSこそCloudflareにロックインされることになりますが、気に入らなければ別のレジストラに移管できる自由はありますし、何より、CDNによるキャッシュの恩恵は計り知れません。そのまま乗っかっておくといいでしょう。

# さいごに

かつてのインターネットは、少しニッチな内容を調べるとすぐ個人のマニアックなブログに当たっていたような気がします。

しかし、現代ではどうでしょう。GoogleがE-E-A-Tなる高尚(笑)なスローガンを掲げ、情報の品質担保を謳いました。そのアルゴリズムが導き出した答えがこの現状です。
権威のある企業ドメインなら、中身がコピペだろうが質の低いアフィリエイト記事だろうが優遇され、似たりよったりのキュレーションメディアに埋め尽くされています。

個人がどれだけ良質なコンテンツを発信しても、ドメインパワーという権威の壁には勝てず、彼方へ追いやられる。Evilに成り果てた現状のGoogleは、もはや個人にとって公平な場とは言い難い状態です。
愛するかつてのインターネットは、もはや現代の死海文書ではなく、Googleに濾過された消毒臭い資本主義の排水溝になり果ててしまったのかもしれません。

正直な話、ただ書いたものを誰かに読んでもらって、手っ取り早く承認欲求を満たしたいだけなら、noteやZennで書いた方が絶対にいいかと思います。あそこには最初から読者がいて、プラットフォームがあなたの駄文をおすすめし、拡散してくれます。

それでもなお、私が個人サイトをおすすめするのは、そこにインターネット本来の自由が感じられるからです。

誰かのアルゴリズムに媚びる必要もなく、検閲におびえることもない。自分のドメインで、好き勝手なことを書く。そういうインターネットの片隅を感じられる遊びも、悪くないものだと思います。